RXスペシャルインタビュー

日常を彩るエレガントな
クロスオーバー SUV 取材・公開日 / 2015.10

勝田 隆之
RX チーフエンジニア

プレミアムクロスオーバーの先駆者

「世界的に人気が高まっているプレミアムクロスオーバー市場は、17年前にRXが切り拓きました。特にアメリカでは確固たる地位を築いていて、そのカテゴリーではトップセールスを続けています。女性が運転している姿もよく見かけます。車高が高いので見晴らしが良く、車格もあるので安心できるのでしょう。ハイブリッド仕様があるので環境意識が高い方からも選ばれ、また比較的、所有年数が長いのもRXユーザーの特徴です。いってみれば、ずっと長く愛される車なのです。ただ時代の流れの中で、大胆な変革も必要となります。そこで新型は先代モデルより大きく飛躍して、全く新しい印象、全く新しい性能を持たせることに挑戦しました」

(+20)の数値は先代モデル比
プラチナムシルバーメタリック〈1J4〉*1

開発テーマは “RXでありながらRXを超える”

「国別で最も販売台数が多いのはアメリカですが、一国だけを意識して開発したのでは世界で戦えません。細部への要求水準が高い日本もRXの重要市場に位置づけています。ただ購入層は日米でそれほど大きく変わりません。購入層の中心は、“大人”の方。上質なものを知っている方々です。自分のスタイルを表現できる車としてRXが選ばれています。国によって交通事情は違いますが、ラグジュアリーな価値観はあまり変わらないんです」

デザインをガラリと変えて登場、イメージ激変

「全長とホイールベースを伸ばしたのは、まず上質なゆとりを追求した結果です。伸びやかなプロポーションとした上で、タイヤの存在感を強調して、SUVらしい力強さも表現しました。ホイールベースの拡大は居住空間の改善にもつながり、後席の足元スペースがより広くなっています。全幅はあまり変わっていません。室内幅もほぼ同じ。ですが実際に乗ってみると、幅が広くなったように感じるでしょう。それは主にインストルメントパネルデザインによる視覚効果で、ほかにもコンソール下側の形状を工夫したりして、開放感を感じていただけるようにしています」

自信を持って仕上げた現時点での集大成

「誰が乗っても、よりスマートに乗りこなせるようにと、便利な機能をたくさん採用しました。例えばタッチレスパワーバックドア。これはリアのエンブレムに手をかざすとバックドアが自動で開くというもので、 レクサス初の機能です。買い物で両手が荷物でふさがっている時などに、その便利さを実感して頂けると思います。ほかにも柔らかい内装カラーや買い物フックなど女性の意見を取り入れています」
「私はRXの開発リーダーであることを誇りに思います。RXに携わって、かれこれ10年。その間に私が思い続けたことを全てやり切りました、と自信を持って仕上げた現時点での集大成が新型RXです。ぜひ販売店でその魅力をお確かめください。第一印象だけでも先代モデルとの違いを分かっていただけると思いますが、実際にシートに身をゆだねて、走り出せば、それ以上の違いを実感していただけると思います。そして試乗を終えた際、やっぱりRXだよね、と思っていただけたらうれしいですね」

エンジニアの性

取材などでよく「新型RXで一番気に入っているところはどこですか」といった質問を受けます。その際、私はこう答えています。「全部です」。ドアの合わせに至るまで全て情熱を込めてつくりあげていますから。実際、ドアのヒンジの構造まで変えました。もともとレクサスのドアの建て付けは定評があるのですが、エンジニアの性なんでしょうか、新しい技術を貪欲に取り入れたくなるんですよ。ミリ単位の精度で仕上げているので、分かりにくいと思いますが、見栄えは確実に良くなっています。

燃費

ハイブリッドモデル、RX450hのパワートレーンはエンジン形式こそ先代と同じですが、中身は新開発といっていいほど別物です。出力を上げながらも、燃費を改善しています。今回は新たに2リッターターボのRX200tを導入しました。これは先代モデルのRX270のリプレイス。今、流行のダウンサイジングです。こちらも出力、燃費ともにRX270を上回っています。

予防安全システム

レクサスはコーポレートとして、事故から学び、改善を繰り返す「実安全の追求」に取り組んでいます。RXにも搭載されている予防安全システム「LEXUS SAFETY SYSTEM+」には、事故低減効果の高い4つの予防安全機能をパッケージ化したものです。無線通信を活用したITSコネクトは、特定の周波数を送受信することで、視野に入らない車や歩行者との事故の防止に役立ちます。また先行車を追従することもでき、燃費向上や渋滞の解消などに貢献するとも期待されています。インフラ整備はまだ一部の地域に限られますが、レクサスでは率先して普及させていこうということで、新型RXを皮切りに、搭載車を順次拡大していきます。

NX

プレミアムクロスオーバー市場に対してレクサスはRXだけでなく、ひと回り小さいNXと一緒にプレゼンスを高めていきたいと考えています。NXの開発責任者は、かつて先代RXの開発メンバーで、先代RXの立ち上げが一段落してからも、私と一緒にレクサスSUVの戦略についていろいろと議論しました。そうやってNXが開発、発売されましたが、それがあったからこそ新型RXはひと回り大きくできたのです。

ホイール

セレクタブルカラートリムホイールという加飾パーツをオプションで用意しました。ホイールをお洒落にしたい方は多く、しばらく乗ったら、色を変えてみたくなることもあるでしょうから、そんなニーズに応えられる機能が欲しいというのが着想です。ホイールキャップみたいに脱着できて、一見単純な構造に思えますが、実はそうでもないんです。全体を覆うホイールキャップと違って、特殊な形状になっているので、走り出すと遠心力による負荷がホイールキャップとは比べものにならないくらいにかかるのです。最高速度に至るまでの強度や信頼性、安全性を確保するために、試行錯誤を重ねました。レクサスは、こういうユニークな試みも、人知れずこっそりと真剣に取り組んでいるのですよ(笑)。

※このインタビュー記事は、本サイト独自取材のもので、開発責任者インタビューシリーズ、バックナンバーです。
車両情報、部署、役職、その他の情報は記事公開当時のもので、現在とは異なる場合がございます。